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ファイティングファンタジーゲームブック日本未訳作品の翻訳活動
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今年2017年はファイティングファンタジーシリーズが発表されて35周年となります。21世紀になってから、これまでFFは節目の年に新しい大きな動きを見せたり「記念作品」を発表してきました。

・2002年(20周年)
アイコンブックス社より「ウィザードブックス」のブランド名でシリーズ再刊。

・2007年(25周年)
火吹山の魔法使い25周年バージョン及び新作「狼男の雄叫び」(ジョナサン・グリーン著)刊行。

・2012年(30周年)
新作「ゾンビの血」(イアン・リビングストン著)刊行

そして35周年の今年はどのような動きがあったのでしょうか?
まず第1に、再び新しい出版社に版元を変えてシリーズが再刊された事です。今度の出版社はスコラスティック(Scholastic)社といい、表紙及び本文イラストも新たなイラストレーターによって書き下ろされ、まずは6冊が今年7月末から8月にかけて発売となりました。
第2は、このスコラスティック社へ移籍して発売される6冊の中に1冊の完全新作が含まれている事です。シリーズ最新作、何と言ってもやはりこれこそ最大の目玉ではないでしょうか。「ゾンビの血」の時と違って特にそのようなふれこみはされていませんが、この新作こそ事実上の「35周年記念作品」と言っても過言ではありません。その新作の著者はFF創業者コンビの片割れであるイアン・リビングストン氏で、節目の年に再び彼は帰って来たのです。

事実上のシリーズ35周年記念作品

「危難の港」
原題「The Port of Peril」
著者 イアン・リビングストン
本文挿絵 ヴラド・クリザン
表紙 ロバート・ボール
地図イラスト レオ・ハータス

題名になっている「危難の港」とは盗賊達の巣窟である危険な都市ポートブラックサンドを意味します。「ブラックサンドに気を付けろ!」FFゲームブックとその関連作品で時折登場するセリフですが、それだけファイティングファンタジーの作品世界(「世界観」にあらず!)においてポートブラックサンドという都市は「剣と魔法の危険な世界を冒険する」という主題と設定を最も象徴する舞台だからでしょう。そして勘の良い方は察しがつくでしょうが、本作「危難の港」はまさに1983年に刊行されたシリーズ第5弾「盗賊都市 City of Thieves」の34年ぶりの続編となっているのです。
では肝心の「危難の港」の内容はいかなるものなのでしょうか?
(続く)
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新刊「モンスター事典2」と「吸血鬼の復讐」はおかげ様で好調な売れ行きを見せております。後者は部数が少なかったので売り切れましたが、オフセット版を5月5日のゲームマーケット合わせで刊行予定ですのでしばらくお待ち下さい。



今回の本の来歴について少しお話したいと思います。

・モンスター事典2 Beyond the Pit

かつてファイティングファンタジーの資料集として「モンスター事典 Out of the Pit」(イギリスでは1985年、日本では1986年刊行)という本がありました。日本でもゲームブック人気の高かった時代に翻訳出版されたので、当時のファンであれば購入した方も多いでしょう。ただ、この最初の「モンスター事典」はシリーズ初期に出された本である為、舞台であるタイタン世界の設定がまだ十分に作られていない段階でのものでした。具体的な巻数でいうとパフィン版1巻「火吹山の魔法使い The Warlock of Firetop Mountain」から14巻「恐怖の神殿 Temple of Terror」、ソーサリー4部作、スティーブ・ジャクソン氏によるTRPGの「ファイティングファンタジー」のモンスターと、その後の作品に登場させる為に新たに創作したモンスター類(ただし現在にいたるまでゲームブックに登場していないモンスターも多数あり)で構成されたものです。しかしながらその後FFの刊行が続く中でさらに多くのモンスター類が新たに創作される事となり、そうした新モンスター類に関する解説が行われないまま現在に至って来ました。
本家イギリスでは21世紀に入ってFFゲームブックがウィザードブックスから復刊され、それと同時にジョナサン・グリーン氏やイアン・リビングストン氏による新作ゲームブックの刊行、スマートフォンやタブレット端末へのアプリ版移植、アドバンスドファイティングファンタジー(AFF)のルールブックやシナリオ集の改訂復刊・新作刊行など、80年代とは比較にならないとは言え、熱心なファンの支持を受けて再び商業活動が行われています。特にTRPGとしてAFFが新たに復活した事により、資料類を充実させる必要性が高まったと言えるでしょう。そうした中で待望の資料集が新たに刊行されました。そう、ファンの多くが待ち望んだ「モンスター事典(以下「1」と表記)」の続編である、「モンスター事典2 Beyond the Pit」がついに刊行されたのです。出版元はアリオンゲームズという会社で、これまでにも改訂AFFや「タイタン」「モンスター事典1」といった関連書籍の再刊や、新作のTRPGシナリオ「ソーサリーキャンペーン 王たちの冠」(日本でも2000年代前半に国際通信社から出たd20FFとは別物)などを出版してきました。

この本が出版された経緯はこれまでのシリーズ中でもいささか変わっており、ファンからファンド形式で出版資金を調達して刊行にこぎつけたという点でしょう。最近色々な所で活用されている「クラウドファンディング」というやつで、本書を出版するのに必要な経費(ライターやイラストレーターへの謝礼、印刷代など)を一口いくらで公募し、必要な金額を超えて集まったら出版プロジェクトを始動するというものでした。出資者には出来上がった本(出資金額によってソフトカバーだったりハードカバーだったり色んなおまけグッズがついたりする)を進呈するというものです。もちろん本は出資者にのみ配布されるのではなく一般にも販売されます。
ただし本書は「自費出版」的な扱いのようで、ISBNコードがありません。これは一般の書籍流通には乗らないという事でもあり、現時点ではアマゾンなどでも取り扱われていませんでした。
このようにファンドで出版資金を集めるというのも時代の流れかもしれません。いかにFFが復活したといっても80年代のように馬鹿売れするわけではない以上、紙媒体での出版は売れるかどうかのリスクがつきまといます。FFのように今ではいささかマニアックなゲーム類の新作はクラウドファンディングで手堅く資金を集めるのが賢いやり方ではありましょう。「最後のFF作家」ことジョナサン・グリーン氏もこれと同時期にクラウドファンディングで資金を集め、FF30年の歴史を関係者インタビューで綴るドキュメント「主人公は君だ You are the Hero」という本や、新作ゲームブック「不思議の国のアリスの悪夢 Alice's Nightmare in Wonderland」(ただしFFシリーズではない。項目数520の大ボリュームで、当サークルでも後日翻訳予定)を刊行しました。今後こうした例は増えるかもしれません。

気になる本書の内容については、前著以降に新登場したモンスター類を250種取り扱っています。巻号で言うと、パフィンブックス49巻「サルダス包囲網 Siege of Sardath」までと「王子の対決 Crash of Princes」「謎かけ盗賊」やAFFの各書と、14巻以前のゲームブックで登場しながら前著でフォローしきれなかったモンスターを扱っていました。逆に言うと、50巻以降及びウィザードブックス新作で新登場したモンスターはほとんどフォローされておらず、その点はいささか未練が残ると言えます。また、49巻までの本でもなぜかスティーブン・ハンド氏のゲームブック(40巻「夜よさらば Dead of Night」、44巻「影の戦士の伝説 Legend of the Shadow Warriors」、48巻「ムーンランナー Moonrunner」)で初登場した(つまりハンド氏の創作した)モンスターが一つも載っていなかったのも非常に気掛かりではありましょう(ただし当サークルの訳書では「ムーンランナー」に登場したあるモンスターを1種類のみ、別のFF関連書籍のデータを引用する形で追加収録)。それと元のゲームブックに挿絵がなかったモンスター類が収録から漏れたのも明らかです。これは新たにイラストを描き起こす予算やスケジュールが不足していた為でしょうか(ただし「恐怖の幻影」と「ナイトメアキャッスル」のモンスターのみイラスト著作者の許諾が取れなかったと見られ、これらは書き下ろしで掲載)。



こうした弱点は若干ありますが、それでもこの時代にこのような本をよく出してくれたとは思います。日本未訳作品をお読みになった方であれば当然抱いた、新登場モンスターの詳しい素性がやっと判明したのですから。「破壊の塔」に登場した新たなエルフの支族である氷エルフ、「闇の短剣」で主人公を狙った暗殺者種族マムリク、「吸血鬼の魔城」でハイドリッヒ伯爵の強力な番兵を務めたサスサロス、「死の軍団」の岩男や泥砕き、「黒き血脈の予言」の平和な蛙型種族クリーフルと邪悪なドラゴン・スタラマック、「憤怒の牙」の竜人やアマゾン族など…。
のみならず、33巻までの既訳作品のモンスター類も豊富であり、むしろそちらの方が本書の主軸を占めているとも言えます。中でも「ソーサリー」のモンスターには前著では解説されなかったのが多く、サイトマスターやクラッタマン、眠れぬラム、大魔王の正体であった黄泉の国の悪魔、さらには七匹の大蛇などにも詳しい解説がなされました。
さらに注目すべきは各ゲームブックに登場するキャラクターや地域の設定を新たに固めた所でしょう。例えば「王子の対決」の舞台である都市国家ガンドバッドは詳しい位置付けがされなかった為に、ファンの間ではタイタンとはまた違った異世界ではないかという見方(筆者も当初はそう考えた)もあって論議の種だったのですが、本書ではこれがクール大陸北部にある地域だと新たに設定が固められました。

一方登場キャラクターの設定面では

・「死の罠の地下迷宮」にNPCとして登場した二人のバーバリアン戦士、一人はスロムという名がゲーム中に登場したが、もう一人はクロムという名でスロムの兄と本書では解説。

・「盗賊都市」の悪役ザンバー・ボーンと「モンスター誕生」に登場したザラダン配下の骸骨医師キンメル・ボーンも兄弟で、両者はモンスター種族としては死霊王(リッチロード)という分類。

といった設定が新たに付け加えられています。他にもたくさんあるのですが、それは実際にお読みになってのお楽しみという事で。

「1」の刊行から29年目にしてようやく登場した待望の本であり、本書はFFファンとしては必読の史料集と言えます。旧著の時もそうでしたが、まさに「むさぼり読む」という形容がぴったりな内容ではないでしょうか。

贅沢を言えば、まだ解説されていない多くのモンスターを網羅した第3弾も刊行して欲しい所です。さらに重要なのは作品世界の設定に関する追加資料、すなわち「タイタン2」でしょう。前著「タイタン」(時期的にイギリスでは「モンスター誕生」の直前に出版。日本では逆にこれら2冊が出た後になってしまい、ザラダン・マーの来歴をやや曖昧にして事前に読者の興味を煽るという英本国で行われた手法が空回りしてしまった)以降に新しく登場したキャラクターや地域などをぜひまとめて欲しいものだと思います。果たしてこれらも制作しようという声が出て、クラウドファンディングは行われるのでしょうか。
(続く)
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